日本財団 図書館


 

木村
あのフランスからの船を一日入港拒否した際には、私としては眠れない日が何日か続きました。たった一日止めたのを、あるマスコミはパフォーマンスだと書いた。ただ、あの当時の科学技術庁当局、あるいは政府にも言い分があるだろうけれど、私は自らの公約とか、あるいは県民の命や環境を守る、そういう普通のことの中で最も大事なことの責任を負う者として、これまで積み重ねてきた当事者間の立地協定に基づく約束は守らなければならない。そういう中にあっても、これまでのいきさつや取り決めの中で、最終処分地については、私が就任する前に当局から出されている文書は、私の判断では、いきさつとしては分かりますが、法律的に、あるいは行政的に弱い。口頭で約束を取り付けたものの、その後、長官から派遣された科学技術庁の高官のそれに対する認識が変わった。
そこで私としては、やはり信頼関係を維持するためにも、あるいは後世の歴史の評価に耐えるためにも、行政、法律用語を吟味した上で、いわゆる確約の確認の文書を必要とするという判断をしました。それの責めぎ合いが、あのいきさつでありました。
国益というか、あるいは、常識的な考え方は理解できてるつもりですから、そういうギリギリの状況の中での行動でありました。あとは皆さんが判断されることとなると思います。
これから、地方分権が進んでくると、ある意味では、知事の権限というか、県行政というのは重くなってきますが、本来ならば、県行政よりは市町村行政が重くなっていかなければいけません。住民の数が少なくても、行政上、法体系上、権能は県より市町村に、細部にわたって必要な財源を伴って移行していくべきです。あるいは権限移譲だけでなく、平行して規制緩和ですね、そういうことが大事だと思います。
地方分権推進委員会から示される具体的指針を見極めなければ断定的に言えませんが、道州制とか連邦制の方向ではないようで、今現在ある行政、実際の組織、システムを踏まえての方向性のものが出されると思います。その場合、一気に市町村移行ではなくて段階を踏んでいくということでしょうから、過渡期的かもしれませんが、ある一定期間はやっぱり県の方が、ある意味では責任が重くなってくる。そういう意味では、住民意識を極めて重視しながらいろいろな判断を行わなければならないことが、これからも出てくる。原子力エネルギー政策だけでなく、そういうことにおいては国と県ではなく、住民である一般県民と県行政の話し合い基調というものが問われていく。そういうことに我々は慣れているだろうかと考えますと、責任者の一人である私自身もなかなか言い切れない。ですから、私は「現場主義」というのを全面に出しています。議会を重視するのは当然ですけれども、100人委員会などで直接、県民の生の声

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION